ホームへ戻る                       前へ  目次へ戻る  1  2  3


怪談・夢語り1「しょうけら-3」
      3. 夢だから


 ――――黒く染まったしょうけらの顔から
 徐々に目鼻が消えていく



 体も細く
 凝(こご)り込み――――
 どろりとして濃密な
 闇の塊になる。



 そして……
 しょうけらはいきなり
 女性の左肩に
 くるりと回り込んだ



画像
画像
画像
画像
画像








  「おまえも…」











         ――――その先の言葉(こえ)は






         すでに人の言葉(もの)ではなかった……














  目の前の空間が



  真っ赤に染まった







 記憶はそこで
 とぎれている……。







 とにかく、私は
 白いマルチーズのぬいぐるみはもらっていない。







 もらっていないはずなのに







 わずかに手元に残る子供の頃の写真には







 白いマルチーズのぬいぐるみの置かれた部屋で

 笑っている小学生の私の写真が二枚ある。







 どちらの写真のぬいぐるみにも

 なぜか灰色のもやのようなものがかぶっていて

 マルチーズは、あまり鮮明には

 写っていない。







 あの時は、

 とにかく眠かった。







 眠くて、眠くて

 しかたがなかった







   何故なんだろう?






 ――――まあ、とにかく

 すべては「夢」の







 ――――話である。




+++  +++
 前へ  1  2  3


□■□ホームへ戻る 目次へ戻る□■□





素材提供/thank you! 暗黒工房  創天  写真・アート/溝口タカオ  きまぐれ堂
Copyright (C) 茜梨生 all rights reserved.
inserted by FC2 system